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年中から小6まで8年間レッスンに通ったNちゃんの成長ぶりについて ~「待つ姿勢」の具体例②~

日野市程久保に私がピアノ教室を立ち上げたのは今春(2023年4月)ですが、指導歴は間もなく20年になろうとしています。
(小金井教室の立ち上げについてはこちら)

その約20年の間、ずっと「待つ」という姿勢を大切にしています。

なぜなら子どもの成長は、その時には遅々としているように見えても、少し長い目で見ると、実はかなり劇的だったり、めざましかったりして、少し「待つ」ことによって思いもよらないほど見事な成長を見せてくれることが多々あるからです。

「待つ姿勢の大切さ」についてはこちら

具体的に、どのように大切にしているか…ということを実際のレッスンの事例から紹介したいと思います。

前回は、レッスン中にすぐに泣いてしまう小2のS君を紹介しました。

4年間で練習熱心な小学2年生に大変身!~レッスンですぐに泣いていた年中のS君の成長を「待つ」ことで起きた変化~ 「待つ姿勢」の具体例①はこちら

今回は、体験レッスンで大泣きして、その後半年間ピアノを弾かなかった…という、当時幼稚園の年中さんだったNちゃんの事例を紹介します。

レッスンに8年間通って、順調に成長したNちゃん

Nちゃんは小金井の教室に、年中さんから中学校受験の直前まで8年間通ってくれた生徒さんです。

小学校の3年生まではレッスン中、唇をきゅっと噛みしめていて、口数の少ない生徒さんでしたが、その後はとても饒舌になって、学校の話や大好きなお姉さんの話たくさん聞かせてくれる生徒さんでした。

Nちゃんは小学校になってからは順調に上達して、ピアノスタディ(ピアノスタディについてはこちら)を3巻まで終わらせて、ハノンやブルグミュラーを弾いていました。

高学年になってからの発表会では、リズミカルな現代曲を上手に弾きこなして、なかなかの腕前になりました。

そんなNちゃんですが、最初の出会いはかなり強烈な、それも衝撃的なものでした。

Nちゃんとの衝撃的な出会いの体験レッスン

Nちゃんは年中さんになってすぐに体験レッスンに来てくれました。

その体験レッスンで、ピアノに向かっていたNちゃんが泣き出してしまったのです。

それも大泣きです。

拍のとり方がわからなかったのか、音を出すタイミングがわからなかったのか、何か「わからない」ことでパニックになってしまったようでした。

後から知ったことですが、Nちゃんは早生まれで、体験レッスンに来てくれた時はまだ4歳になってすぐの頃だったようです。

私の指導歴もまだ浅く、振り返ると、年中の生徒さんと接したのはその時が初めてでした。

4歳になってすぐのNちゃんに、それも初めて会った時に、「無理難題を課された」ように感じさせてしまったのだと思います。

せっかく来てくれたNちゃんに対して申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

帰りがけのお母様に「もっと相性の良い先生がいらっしゃると思います。」と声をかけるのが精一杯でした。

ところが予想に反して、お母様はNちゃんへの指導をよろしくお願いします、とおっしゃったのです。

それどころかNちゃんと一緒に来て見学していたお姉さんのRちゃんもお願いします…と。

Rちゃんは当時小学3年生で、学校の音楽の授業が少し苦手、特にヘ音記号が不得手で、ピアノをやるかどうかは微妙…なので、妹の体験レッスンを見学しに来ていたのです。

Rちゃんには「ピアノのレッスンに通ったら楽譜が読めるようになるだけじゃなくて、音楽の授業も、音楽そのものも得意になるからね。」と、声をかけました。

みるみるうちにRちゃんの目が輝きます。

Rちゃんはその時、心の底から「やってみたい!」と思ったのでしょう。

お母様はRちゃんのその気持ちを大切になさいました。

Rちゃんはこの時から8年間、熱心にレッスンに通いました。

ピアノを弾かないNちゃんのレッスン

さて、レッスンに通うことになったNちゃんですが、私はいやな予感がしました。

Nちゃんは、ひょっとしてピアノを弾くのを嫌がるのではないか…と。

この予感は的中しました。

そこで私がとった対策は、Nちゃんが「ピアノを弾きたい」と思う時を「待つ」ことでした。

レッスンをできるだけ「楽しい」と思える時間にして、「ピアノを弾きたい」と思ってほしかったのです。

Nちゃんが「楽しい」と思えるレッスンとはどんなレッスンだろう…と、一生懸命に考えました。

そこでまず何が何でも無理にピアノを弾かせるのではなく、ワークブックをやることで楽譜の読み方を覚えてもらうことにしました。

きれいに音符に色を塗って、ト音記号のドレミ…、へ音記号のドシラ…を覚えて行く…というワークブックを探しました。

音符の色塗りの後はリズム遊びをします。

リズム遊びは子供たちに大人気…というより、人間は根本的にリズムを「面白い」と感じるものなのでは…と思います。

いつもは唇をキュッと結んでいるNちゃん、リズムを打っていると、だんだん笑みがこぼれてきます。

Nちゃんはかなり良いリズム感を持っていました。

カッコよくリズムを決めて、得意そうな顔をします。

音符の色塗りとリズム遊び、そして時には音符の読み方をクイズみたいにして出題する…そんな状態が半年ほど続きました。

途中何回か、「自分の塗った音符をピアノで音にしてみない?」と誘ったのですが、それは断固として拒否されました。

「音符の色塗り」のワークブック…Nちゃんもこれを使いました。今でも幼稚園の生徒さんにはこれをお勧めしています。
Nちゃんも使っていたワークブック…音符の長さを覚えます。

ピアノを弾きはじめたNちゃん

そんなNちゃんでしたが、いよいよピアノを弾いてみよう…と思う日がやって来ます。
それは発表会の少し前でした。

あらかじめお姉さんのRちゃんの許可をとった上で、Nちゃんに「発表会でお姉ちゃんと2人で一緒に弾いてみない?」と誘います。

その頃3年生のRちゃんは、結構上手に弾けるようになっていました。

4歳年上のお姉さんが大好きなNちゃん、お姉さんが上手に弾けるようになっているのを間近に見て知っています。

ちょっとだけ考えて、挑戦することに決めました。

発表会がクリスマスの頃だったので、「きよしこの夜」と「ジングルベル」を連弾することにしました。

するとどうでしょう!

ピアノは難しい…と思っていたNちゃん、自分が思っているよりもずっと簡単に弾けるではありませんか!

何よりも楽譜がスラスラと読めるようになっています。

そして、最初に弾いた時よりも腕や指に力が入ります。

びっくりしたような顔をしたNちゃんは、その後どんどん弾けるようになりました。

気を良くしたNちゃんは、ソロでの演奏にも挑戦することにしました。

幼稚園で歌った曲の中で好きだった「ちょうちょう」と「かえるのうた」、そして「きらきらぼし」を選びました。

こうして年中のNちゃんは、初めての発表会で立派に演奏することができたのです。

饒舌になったNちゃん

最初の発表会で上手に弾けたことで自信をつけたNちゃんは、その後すくすくと成長し、ピアノの腕も上達しました。

ただレッスンでは、相変わらず唇をキュッと噛んであまりしゃべらない生徒さんでした。

そんなNちゃんが劇的に変わる日がやってきます。

それは小学校3年生の時、Nちゃんにとっては5回目の発表会の前のことです。

発表会は教室がスタートしてから第10回目の記念ということで、お教室の生徒さん達全員で『サウンド・オブ・ミュージック』というミュージカルの曲を演奏する企画をしたのですが、それに先立ち、みんなでそのDVDを鑑賞する…というイベントを開催しました。

その時私は隣に、当時一番小さい生徒さんと、一番新しい生徒さんを座らせていました。

ところが会の半ばぐらいに、Nちゃんがにこにこしながら椅子運んで私の隣に来たのです。

その頃には、それまで隣にいた生徒さんも会の雰囲気になじんでいたので、私は静かに笑いながらNちゃんの行動を黙認しました。

とても可愛らしく感じました。

同時にとても嬉しくて、こんなにNちゃんが懐いてくれたなんて…と、あたたかな気持ちになりました。

そのイベントに、お姉さんのRちゃんは参加できなかったのです。

いつもはお姉さんにべったりのNちゃん、少し寂しくて私の横に来たのでしょう。

私とNちゃんと、ようやく気持ちが通じ合った瞬間だったと思います。

Nちゃんが饒舌になったのはそれからです。

もちろん、ピアノの腕もどんどん上達しました。

Nちゃんの気持ちを「待つ」ことで、私が学んだこと

私は、ピアノの上達に一番必要なのは、お子様本人の「弾きたい」という気持ちだと思います。

「ピアノを習いたい」とやって来る生徒さんの、憧れや希望に満ちた、きらきらと光る瞳が大好きです。

その気持ちを大切にして、さらに大きく成長するように上達してもらうように努めています。

いつも唇をキュッと結んでいたNちゃんは、たぶん「弾きたくなかった」のでしょう。

そしてその「弾きたくない」と思うきっかけを作ってしまったのは、体験レッスンでしょう。

今にして思うと、まだ小さかったNちゃんは、体験レッスンに来た時、ピアノを弾きたいとはあまり思っていなかったのかもしれません。

お母様に連れられてやって来て、「先生」という知らない人に「無理難題」を言われてしまった…。

Nちゃんになかなか心を許してもらえなかった私は、最初はNちゃんにとって「警戒人物」もしくは「要注意人物」だったのかもしれません。

「弾きたくない」を「弾きたい」に変えるのは、「嫌い」を「好き」に変えることであり、容易なことではありません。

でもそれを可能にしたのは、大好きなお姉さんが上達して行く姿を間近に見られたことと、「ピアノを弾かない」レッスンを毎回黙ってじっと見守ってくださったお母様の存在があったことです。

かなり稀有な例だと思いますが、当時まだ年中さんに指導をしたことがなかった経験不足の私にとっては、とても有難いケースでした。

この時Nちゃんに対して行った指導は、その後、幼稚園生を教えるためには欠かせない指導法となります。

幼稚園ぐらいのお子様は、ピアノを弾くのと並行して音符の色塗りのワークブックを行った方が楽に楽譜を読めるようになり、後々順調に上達して行くことがわかりました。

リズム遊び(簡単なソルフェージュ)を一緒に行うと更に効果的です。

Nちゃんへの指導が、そのまま私の幼稚園生への指導法になりました。

「待つ」ことの意味や効果

以上、ピアノを弾きたくなかったNちゃんが「弾きたい」と思うようになるのを「待った」ケースについて紹介しました。

難しいケースで、そうそうあることではありませんが、長い目で見るとやはり「待つ」ことで子どもが見事な成長を見せてくれる一例です。

小さなお子様の保護者の方々には、ぜひ「長い目」でお子様を見守ることをお勧めします。

「待つ姿勢の大切さ」についてはこちら

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