私が小金井で最初にピアノ教室を立ち上げたきっかけ
今から20年ほど前、私が小金井で最初にピアノを教えるようになったきっかけは、娘の同級生とその妹さんの言葉でした。
娘が小3の時、保育園の夏祭りの帰り道のことです。当時小1の、同級生の妹さんが私に向って「みいちゃん(娘のこと)のお母さん、いつからピアノを教えてくれるの?」と言うではありませんか!「え?私そんな約束したっけ?」と口元から言葉が出る前に、そのお姉さん(娘の同級生・3人とも同じ保育園の出身)が私をじっと見つめるのです。
その眼差しの強さに彼女の期待の強さが表れています。「えっと…」口ごもってしまいましたが、もう後には引けないかんじでした。どう答えたかは覚えていませんが、一緒にいた彼女達のお母さんに「すぐは始めないよね?ピアノ、まだ買わないよね?」と言ったら「それがね、今、わが家、盛り上がってて、もうすぐにでも買おうって話」。無自覚にお約束していたのですね。《本当に申し訳ない!》
そこから私の知り合いの調律師を介してクラビノーバが届くまで、あっという間でした。そして9月の最初の週からレッスンがスタートしました。「みいちゃんのお母さん、いつから…」と彼女達が言った時に2人の瞳に灯っていた輝きを失わせてはいけない…それが私のピアノ講師としての原動力でした。
ピアノを教えるなんて、私の人生のシナリオにはありませんでした。だからこそ、そこから真剣にどうすればピアノが弾けない子どもを弾けるようにできるのかを考えました。どんなテキストを使えば良いのか、楽器店で楽譜を片っ端から広げて何時間も考え込むこともしばしばありました。でも一番気をつけたのは、彼女たちの目の輝きです。楽しく通ってもらおう!と思いました。
今まで何度もお互いの家を行き来して遊んでいる子達です。「きっと楽しい何かを教えてくれる!」と期待してやって来るのです。そのワクワクした気持ちで伸びて行ってほしい…そう思って毎回遊ぶように楽しくレッスンしました。そして気づきます。レッスンって、私にとっては子供の時緊張感でいっぱい…というより萎縮しきっていました。でも、この子達には楽しい雰囲気の中で、のびのびと力をつけてほしい…それが私のレッスンの原点です。
その後たくさんの生徒さんが教室に加わりますが、最初にやって来る時のあのワクワクした感じ…ピアノが弾ける!という喜びに満ちた瞳の輝きを、私は大切にしてきました。そのワクワク感こそ上達の源だからです。そしてどんな生徒さんも、そのワクワクはいつか壁にぶつかります。そんな時こそ講師の本領発揮の時だと思います。「弾けない」を「弾ける!」に変える、それが私達講師の仕事だと思っています。