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親も「待つ」ことの大切さ

多摩の森ピアノ教室(日野市程久保)は、お子様の成長を「待つ」姿勢を指導方針に掲げて大切にしています。

それは、子供はのびのびと成長する中でこそ豊かな感性が育まれ、それぞれの長所を生かして将来の夢に向かって羽ばたいて行ける、と考えるからです。

だから目の前のことに一喜一憂せずに、じっくりとお子様自身の成長を「待つ」姿勢を大切にした指導を心がけています。

この「待つ」姿勢は私の指導方針ですが、今まで接してきた保護者の方の中には、この「待つ」姿勢を見事に実践されていらっしゃる方が多くいて、感心させられ、思わず見習わせていただいた方が何人もいました。

親というものは、得てして子供の早い成長を望むあまり、つい先回りしてレールを敷いてしまいがちではないでしょうか。

私自身がそうでした。

そういう中で、子供の成長を何よりの楽しみとしてあたたかく見守る保護者の方の姿はとても尊く、またそのようにして育てられる子供は実にのびのびとしていて、自由に、そして豊かに感性の翼を広げて行きます。

子供を育てる親は全て「待つ姿勢」が大切なのでは…、と思います。

今回は逆説的に、親が「待つ姿勢」をとらなかったケースをご紹介します。

子育ての参考になると幸いです。

よその教室から移って来た、ピアノが上手なAちゃん

多摩の森ピアノ教室(日野市程久保)が小金井市でレッスンしていた時に、よその教室から移ってきたAちゃんという小学5年生の生徒さんがいました。

Aちゃんはとても穏やかな性格で、そして非常に柔軟性のある生徒さんでした。

お母様によると、ピアノへの興味を失いかけていて、あまり熱心に練習をしないから、楽しく長く続けられるように、ということで多摩の森ピアノ教室(日野市程久保・当時は小金井市)を選んでくださいました。

Aちゃんは当教室に来た時はすでにかなり上手にピアノを弾いていましたが、レッスンに通うようになってからも順調に上達して行きました。

発表会の選曲めぐって

そんなAちゃんが多摩の森ピアノ教室(日野市程久保・当時は小金井市)で初めての発表会を目前にした時のことです。

Aちゃんは発表会に「アルプスの夕映え」という曲を選びました。

発表会で定番の、華やかでキレイな曲です。

Aちゃんの雰囲気にぴったりで、予想していた通り、Aちゃんはこの曲に花丸、つまり「発表会でぜひ弾きたい曲」という印をつけて選んだのです。

ところがAちゃんが帰宅してすぐに、お母様から「ショパンのワルツに変更してください。」というメールが届きました。

「ショパンのワルツ」は、Aちゃんが×印、つまり「この曲は弾かなくて良い」という印をつけた曲です。

私はお母様に、Aちゃんが「ショパンのワルツ」には×をつけたこと、そしてもし×印の曲に変更した場合、練習のモチベーションが下がる可能性があることお伝えしました。

でも同時に、「ショパンのワルツ」はAちゃんならキレイに弾けるだろうから、次回のレッスンでAちゃんの意思を再度確認することを提案しました。

Aちゃんの気持ちを尊重したい一方で、お母様の希望も大切にしたかったのです。

レッスンで最優先されるのはもちろんお子様自身の意志ですが、ご家族の希望や要望にもできるだけ添いたい、と私は思っています。

ご家族の理解や支えがあってこそのレッスンだと思うからです。

そして、もしご家族の方と私の意見が食い違うと、生徒さんはその間で苦しくなってしまいます。

そんなわけで、曲の決定は次のレッスンに持ち越しとなりました。

発表会を「待つ」ことなくやめてしまったAちゃん

そして迎えたAちゃんの次のレッスンの時。

Aちゃんにどちらの曲を弾きたいかを聞いたら、Aちゃんは「当然でしょ」と言わんばかりに「ショパンのワルツ」と答えました。

それはまるで「ママの言うことだから当然」と言っているように聞こえました。

この時もAちゃんの柔軟さ、しなやかさに驚き、感心しました。

その後Aちゃんは、「ショパンのワルツ」を練習して、かなりキレイに弾けるようになりました。

でも、Aちゃんが発表会の舞台に立つことはありませんでした。

発表会を前に、Aちゃんはお教室をやめてしまったのです。

正確に言うと、お母様によれば「ちゃんと練習しないから」という理由でやめさせられたのです。

Aちゃんのお母様は、発表会を「待つ」ことなく、「やめる」という選択をしたのです。

「待つ」姿勢があれば…

「練習が足りない」ことを理由に習い事をやめさせる、という親の決定は、間違いではないと思います。

ただ、Aちゃんの上達をもう少し「待つ」方が良かったのでは‥?と思わずにはいられませんでした。

さらに言うなら、Aちゃんが決めた曲を変えなかった方がもっとAちゃんは練習したのではないでしょうか。

親にはいろいろな経験値があります。

だから親から見ると、思ったように子供が成長しないともどかしかったり、歯がゆい思いをするでしょう。

でも、できないところに目を向けるよりも、できたことや、

そこまで頑張ったことをお家の方が褒めてくれたら、どれだけ子供は嬉しいでしょう。

それが発表会であれば、次も頑張ろう!と思ってさらに上達するでしょう。

そういう経験の積み重ねが子供を伸ばし、成長させて行くと思うのです。

そういう意味で、発表会は子供にとっても親にとってもかけがえのない機会となるのです。

もちろん、Aちゃんのお母様の選択は、Aちゃんを思う愛情からの行動であり、Aちゃんもそれがわかっているから受け入れられるのでしょう。

でも、Aちゃんの本当の気持ちはどうだったのでしょう?

「ママがそう言うならやめる」と、Aちゃんなら柔軟に受け止めたような気もします。

そしてこの先、Aちゃん自身が、お母様が何と言おうと自分の意見を通すこともあるかもしれません。

そうであればいいな、と思います。

おわりに

以上、今日は「親が子供を待つ姿勢」の、逆のケースを紹介しました。

Aちゃんのケースは、かなり極端な例です。

でも、冒頭にも書きましたが、親というものはいつのまにか、無意識のうちに子供の早い成長を望み、先回りしてレールを敷いてしまいがちではないでしょうか。

そこを敢えておさえて、子供自身の意志や選択を尊重して、その成長をじっくりと「待つ」方がかえって子供の豊かな成長につながると思います。

ぜひゆったりと構えて、お子様の成長をあたたかく見守ることをお薦めします。

なお、じっくりとお子様の成長を見守ったお母様を紹介したブログもあります。

そちらもぜひ参考にしてください。

4年間で練習熱心な小2に大変身したS君・「待つ姿勢」の具体例①

S君のその後の目覚ましい成長ぶりについて

年中から小6まで8年間通ったNちゃん・「待つ姿勢」の具体例②

ステキな名曲に出会う‼ドキドキ・ワクワク発表会の曲選び

親の姿勢は書かれていませんが、独特な感性のMちゃんの様子
(やはりお母様がとてものびのびとお子様達を育てていらっしゃいました。)↓

感性を育む!美しい色彩の『うたとピアノの絵本』

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