娘の自立
ひとり娘が自立して家を出て行きました。
社会人になった時から「親元を離れて自活する!」と宣言して、そこから6年たったのだから、かなりゆっくりな自立です。
でも、いざとなると急でした。
先月のはじめに気に入った物件を見つけた、と言って内覧に行き、気に入って契約、今月のはじめに鍵を受け取って、2週間ほどかけて引っ越して行きました。
車で20分ほどの距離のところ、近くといえば近くです。
でも、自分でもびっくりするぐらい寂しくなってしまいました。
寂しさがこみあげてきて、止まりません。
自分で自分の感情を持て余して、どうすることもできないぐらいに落ち込んでしまいました。
娘の旅立ちなのに。
立派な自立で、そこを目指して育てたのに。
ステキな部屋に、いそいそと嬉しそうに引っ越して行く姿を頼もしく見つめながら、一緒になって楽しく手伝ったりもしたのに。
いざ、娘がいなくなってみたら突然寂しくなって、このままおかしくなっちゃうんじゃないか…と思うぐらいに落ち込みました。
いやはや…。
まあ、やむを得ないのかもしれません。
30年近く共に暮らしたのです。
大切にしてきたのです。
いくら立派に巣立ったとはいえ、そばにいなくなるのはやはり寂しいです。
でも、約30年もそばにいてくれたのです。
決して短い時間ではありません。
その間、親としての喜びや楽しさを味わえたのです。
親としても、人としても成長させてもらったと思います。
感謝すべきだな…と思いました。
そう思った時、私がこの地に越してくる時に父がかけてくれた言葉をふと思い出しました。
「楽しかったよ。ありがとう。」という。
私達家族は、私の実家と、6年前まで小金井の同じマンションに住んでいました。
私達夫婦と私の実家が小金井に住みはじめたのは30年前、ちょうど娘を授かった頃でした。
孫が生まれ、その成長を見ることができた…とても楽しくて、幸せだった、ありがとう…と父は言ってくれたのです。
父の言葉に胸を詰まらせながらも、新天地に夢を抱き、思いを馳せて旅立った私達。
今、それと似たような状況が、私と娘との間にできているのです。
どんなに寂しくても、子供の成長を喜び、夢を描いて大空に羽ばたいて行くことを精一杯応援する…。
子育ての最終段階、いえ、子離れの時です。
そう思うと、むしろ遅いぐらいです。
長く一緒にいられた分、辛いのかもしれませんが、その分多くの時間を共有できたのです。
本当に、ありがとう。
いつまでもあなたの未来を応援し続けます。
神様がずっと足元を照らしてくださいますように。
たくさんの幸せに恵まれますように。