歴代のネコ紹介③ ～ ミーシャ

６匹の中で一番長生きしたネコです。19歳まで生きました。

オングルと鬼太郎がいなくなって１年ぐらいたった頃、我が家の人々には禁断症状が出始めました。町でネコを見かけると声をかけまくる、可能であれば触りまくる、ペットショップの前からなかなか去れない…。

限界に達し、遂に母がまたヨーカドーの掲示板経由でネコをお迎えします。その頃のアメリカ大統領クリントン氏のネコと同じ柄…ソックス…手足の先だけ白くて、あとは黒、顔はハチワレで鼻筋にきれいな白が入っているネコでした。

ミーシャは我が家の人たちがネコがいなくて寂しさが限界の時にやってきたので、甘やかし放題でした。何をやっても可愛い、可愛い、と言われて育ちました。オングルと鬼太郎を母が比較的厳しく育てた反省もありました。

その結果、ミーシャは天真爛漫で大胆不敵なネコになりました。お腹を出して寝るのは当たり前（いわゆるヘソ天）、それが家の中だけなら良いのですが、道端で電信柱を枕にヘソ天で寝ているのです。自転車に乗っている人がびっくりしてしばらく見つめていたり、車が仕方なく徐行しているのを何度か見ました。

私が外出する時は、２つ目の角までは並走してついてくるのですが、角のポストから先はついてこないでそこで見送っていました。そして私の帰宅時、そのポストのあたりまで来ると、またどこからか現れて一緒に帰宅するのです。昭和から平成に変わろうとする頃ののんびりしたお話です。

ミーシャは、私の結婚と出産とピアノ教室の立ち上げとをすべて見守ったネコです。私がピアノ教室を立ち上げて、子供たちに歌を歌わせていると、その横に並んで一緒に歌っていました。音程をそろえたかった私としてはちょっと困っていましたが、子供たちはいつものことなのであまり気にしていませんでした。生徒さん達がピアノを弾いている時は、ピアノの下で音に合わせてしっぽをふっていました。　　

歌が好きで…ウィーン少年合唱団が特に好きだったようで、妹がよく聴いていたのですが、CDをかけると必ずやってきて、一緒に聴いていました。

そのミーシャがいよいよ…という頃、たまたまお教室の生徒さんが全員集まるイベントを開きました。その頃にはもう、ピアノの下で生徒さん達の演奏を聴くことはなくなっていましたが、全員集まっているところに出てきました。そしてなんと、ひとりひとりに声をかけるではありませんか。

思わず「みんな、ミーシャがお別れを言っているから聞いてあげて！」と私が言うと、生徒さん達はそれぞれミーシャに声をかけたり、なでたりハグしたりしていました。全員に声をかけ終わった後は、しばらくみんなの様子を見ていました。２つのテーブルに分かれたちょうど真ん中にいて、右を見て、左を見て、満足そうに去って行きました。

もうミーシャは逝ってしまうんだな…と私は思いました。ところがミーシャはそれから２週間ぐらい生きていました。なぜ？と思っていたらその２週間後、今度は母の朗読の集まりがありました。そこでまたミーシャはひとりひとりに挨拶をしたそうです。ミーシャにとっては、私の生徒さんも、母のお仲間も、どちらも大切な人だったのです。

その集まりの2日後に、あっという間に息を引き取りました。あっぱれな生涯でした。